20240623 : 作品text #013

作品について

– Still life , Natura morta – #014 について。

光、暗より照り出でよと宣ひし神は、イエス・キリストの顏にある神の榮光を知る知識を輝かしめんために、我らの心を照し給へるなり。

「コリント後書」より

旧タイトルとして用いたPuis(ピュイ)は仏語の音楽用語で”次に”の意。”それから、ついで、その向こうに、そして、さらに”などの意味を持つ単語。

青梅産のレモンというものを見つけ手にした。中央に描いたのがそれ。ノーワックスをウリとしていたが、その色味と東京で作っているということが私の心を動かした。

所謂静物画、英語ではStill Life静かな命/生活、伊語ではnatura morta死んだ命などの意味合いを持つ。果物などを描くことはその静物画に分類されるが、ずっと描いているとその対象そのもの(固定された、固有の存在)よりもその対象が引き起こす現象に目を奪われるようになった。端的に言えば、そのものがあることで光はそのような色を見せてくれる、影はそのようであるというように、そこにそれがなくては起こり得ないことが目の前で起こっている。これをとても興味深い出来事だと感じている。

だから、今の私は何を描いているのかわかっていない。そのものを捉えようと力を込めればたちまちにすり抜けてしまう。 

また話は変わるが、静物画、静かであるが描くものによって音が違う。もちろん、作品が音を出すわけではないのだが、その作者の何たるかか作品の持っているものなのか、静かさにそれぞれ違いがあるように感じられる。それを音が違うと表現している。その静けさが心地よいと感じる作家の作品はまた目の前にしたいと渇望する。それが作品を制作する際の判断基準にもなっている。私の描いたものは誰かにとって心地よい静かさであるのだろうか。

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