【風にひとりで】について。
Tentofuでしかできないことを、何を展示すべきかというのをずっと考えていたある日、某百人一首漫画を読んでいたら、
”誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松もむかしの 友ならなくに ”
という一首が作中に現れ、それに動かされ描くとにしました。
「これから誰を親しい友とすればいいのだろう。馴染みのある、この長寿で名のしれた高砂の松でさえ、昔からの友ではないのだから。」
というのが口語訳だそうな。ちょうどその頃、私も友や人間関係のことを考えていた時でしたが、まぁ心置きなく話せるような友なんてのがいるわけはないし、この心境に重なることはなかったのですが。
風景を作品にしようと思えたのは、紫陽花を描いていた時に風景というのは風の象(かたち)なのだなということにようやく気づいたので、どうしてもそれをやってみたかったから。
場所は高砂海浜公園。海を臨み松が群生する広々とした場所。おそらく高砂の松で有名なのは、Tentofuの近所にある高砂神社の相生の松なのだろうけれど。
搬入前日までは手を加えました。その中でも色々と学ぶこともあり、きっとこの展示の話がなければ描くことができなかったであろう作品を制作できたことはとても嬉しい。
このタイトル自体は、Tentofuでの展示のお話をいただいて直感的にきっとこれだなと感じたものでした。神戸に来てすぐは毎日風が強くて、その中を歩いていたときのことを思い出したのがあったので。でも、いざ個展のタイトルどうしますか?と聞かれた時にそれを伝えることができなかった。あまりにも勘違いしてみられそうな字面でしかないから。”ひとり”というのも寂しいだとかなんだとか、そんなふうに捉えがちでしょうどうせと思ってやめました。頭にそれがあるだけで全ての作品に影響してしまうだろうから。
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