F10(530 × 455㎜) oil on canvas 2022. December
by tokio suzuki
カリンが思いがけず手に入ったので描きました。自分の好きな画家がスペインでよくマルメロを描き、日本へ帰国してからもカリンを求め長野まで自ら採取しに行きいくつもの作品を描き残しています。
そのため、私にとってカリンを描くことは一つの憧れでもありました。描いたからとはいえ、その人に近づいたわけではないのですが。
私の故郷山形は花梨の生産量が全国2位のようですが、あまり食べた記憶がありません。
【 三つのカリン – tre mele cotogne cinesi – 】では、彼のような描き方を、この作品では自身らしさを/今の自分らしく描くことを求めました。
タイトルの” quattro “は4を意味する単語です。4は日本では死を連想させることから嫌われており避けられる傾向があります。
このカリンを描いている最中にも状態は変化し、描き終える頃にはすっかり茶色く朽ちてしまっていましたが、そうなる前の姿で残しました。
Still lifeには「静かな命、生活、もの」という意味のある言葉ですが、これはドイツ語の”stilleben”(シュティルレーベン)から来ているようです。それが、アルプスを越え、イタリア語では、”Natura morta”(ナツゥーラモラタ)、フランス語でも”Nature morte”「死んだ自然」という言い方に変わります。
朽ちる様をを追って描けば生を描けたのか、どこかの時点で止めて描いてしまったことで死んでしまったのか。
それでも絵は、絵の中では生き続けています。
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