Still life / Natura morta #04 について。
光あれ!
創世記より
光を昼と名づけ、暗を夜と名づけ給うた
山形県産のカリンを見かけたので思わず手に取った。しかし、これまでの見慣れた形ではなく全く知らないもの、これがおそらくはChinese quinceなのかと解釈している。ラ・フランスのようなコロっとした形のもの、おそらくはマルメロに近いものばかりをカリンと思っていたのでこれはいい気づきができたなと感じる。描きたい対象はマルメロ型(マルメロ)だが、手に取った瞬間悩むことも迷うこともなく描くことに決めた。最近はそんなふうに直感を信じるようにしている。これが描きたいと思ったらそれを止めない。
カリンは置いておくだけであの香りが部屋に広がるので悪くはない。そういえば、1年前もカリンを描いていた。【 Quattoro 】あの時もこの香りをも描けないかと思っていた。しかし、今回描きたかったのはそれに加えて光、夜が明け部屋に入り込んでくる光がカリンにほのかにあたり姿が現れる様子だった。これはカリンに限らず本当にかっこいい。12月8日の時点で朝6時でもまだ暗く、7時手前までの半刻ほどが1日の中でのすごくいい時間。夜中に起きて描く生活を送っているが、蛍光灯の下描くよりも自然光で描いた方が断然いい表情を見ることができる。
現在は違っているが、元のタイトルはether(エーテル)、エーテルとは地水火風の四元素に加え第5番目の元素があるとされていたもの。4つのカリンと第5番目の要素、それがこの作品の主題。私が見るということは光を向ける/与えること。対象が放っている内側の光と共振することでそれは現れるように感じる。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
”この天妙な第五元素は上へ上へと昇ってゆき、さまざまな形を与えられて生けるものの如く躍動し、やがて円周を描いて回転するにいたり無数の星になった。”
昨今の世界情勢、また日本国内においても夜が明けるかのように仄かにでも光が差す日が訪れてほしい。
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