20241019 : “Still”によせて

活動について

“Still”によせて

“Still”今回のタイトルを知らされたのが会期まであと10日を切った10月9日のこと。初めからその方向へ向かっていたわけではなくずっと手探りで1年間制作を続けてきました。なのでこの報せを受けた時、気持ちが高揚するようなほんの少し方向性が見えたような、もうひと頑張りできるようなそんな感覚を覚えました。これが自分で定めたタイトルであるのなら、鑑賞者のこの作品群を見る見え方/視点というものはおそらく幅の狭い大方定まったものになっていたことだろうと思います。人から投げられたものだから私も探る、鑑賞者も探さなくてはならない。こういったことはとても面白いと思っています。今回個展という言い表し方をしないのはそのような点、ディスプレイも含めてPragmataのペトロスさんの大きな力があったからです。

また、今回出品した作品のタイトルは全て、Still life / Natura morta で統一しています。これはタイトルを報される前に決めていたこと。英語と伊語でどちらも静物(画)を意味する言葉です(個人的にはNatura morta より仏語のNature morteが語感的に馴染んでいますが圧倒的にイタリア絵画の影響が大きいため)。Still life は直訳すれば静かな生活、Natura morta は死んだ自然とも訳すことができます。単純にどの意味で捉えてもらっても構わないという、それは死んでいるのか、生きているのか、静かであるか静物画になっているのか、どのように観て捉えてもらってもその人に委ねられるように方向性を定めずレンジを広く持ちたかったことが大きな要因です。私にとってのStill life、端的にはこの一年ほどはどこか騒がしく忙しなくもあり、それでいながらとても心静かな生活を送れたと感じています。

特筆する作品として#26は今回のタイトルを知ってから大きく方向を変えたものになっています。発送前日までは全く別物でしたが、梱包直前まで筆を入れました、私なりの”Still”への返答なのだと思っています。

1年間、果物などをずっと描き続けてきました。モノとしてそれを描くというより私はそれを事象として描きたいのだ、そのように感じています。

鈴木 登希雄   

コメント

タイトルとURLをコピーしました